シロアリにやられた

: 還暦を過ぎての、初めての単身赴任生活がスタートしました。さっそく町をジョギングで走り回り、山口の家並みを見てまわるとともに、寺社にも詣でました。驚いたことに、国の重要文化財である龍福寺の本殿は、シロアリにやられたということで、建物をすっぽり覆う大きなドームを建て、その中で分解修復中でした。ものすごく、お金と手間をかけているわけです。住宅選びの際に「木の家が一番」などと簡単に断言する人は、木の建築物の維持には、このようにたいへんな手間とお金がかかるという事実を、正しく認識しておられません。日本が誇る法隆寺だって、千四百年持たせるからには定期的に修理していますし、唐招提寺も善光寺も、先ごろ平成の大修理を行ったばかりです。日光東照宮は現在、六年越しの大修理の真っ最中、いずれも億単位のお金をかけています。国の文化遺産なら、国が税金をふんだんに使って修復していきますが、個人の住宅の修理費は、誰が出してくれるでしょうか。個人個人が出すしかありません。もし、三十年の住宅ローンを組んで、二十年目に家が崩れてしまったら……。建て替え分を含め、個人が二重の借金を背負うしかなくなるのです。

英国の刑務所がイスラム過激派の繁栄の場となった経緯